「向かえる」と「迎える」の使い分けは?意味や正しい使い方を例文で解説

向かえる 日記
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「新年をむかえる」「お客様をむかえる」といった場面で、「向かえる」と「迎える」、どちらの漢字を使うのが正しいか迷ったことはありませんか?どちらも「むかえる」と読みますが、意味やニュアンスは異なります。誤った使い方をしないためにも、それぞれの意味と使い分けをしっかり理解しておくことが大切です。この記事では、「向かえる」と「迎える」の意味の違い、正しい使い方、そして具体的な例文を分かりやすく解説します。

「向かえる」が持つ意味と使われ方

まず、「向かえる」という言葉の意味と、どのような場面で使われるのかを見ていきましょう。一般的に「向かえる」が使われるのは、ある動作が可能であることを示す場合です。

「向かうことができる」という可能の意味

「向かえる」は、動詞「向かう(むかう)」の可能動詞の形です。「向かう」は、「ある方向・場所を目指して進む」「ある状態・状況に対応する」といった意味を持ちます。

したがって、「向かえる」は「(ある方向・場所へ)行くことができる」「(ある状態・状況に)対応することができる」という意味を表します。

  • 例文:
    • 「今すぐ現場へ向かえるスタッフはいますか?」(現場へ行くことができる)
    • 「この装備なら、どんな困難にも向かえるだろう。」(困難に対応することができる)
    • 「明日の会議には、私も向かえると思います。」(会議に行くことができる)

このように、「〜することができる」という可能の意味合いで使われるのが「向かえる」の基本的な用法です。

「迎える」の代わりとしての「向かえる」は一般的ではない

時折、「新年を向かえる」「来客を向かえる」のように、「迎える」と同じような意味合いで「向かえる」が使われているのを見かけることがあります。しかし、これは一般的には誤用とされることが多いです。

「迎える」が持つ「人や時、物事を自分の側に来させる、受け入れる」という意味を、「向かうことができる」という意味の「向かえる」で表現するのは不自然です。後述する「迎える」を使うのが適切な場面です。

「迎える」が持つ意味と使われ方

次に、「迎える」の意味と使い方を確認しましょう。「迎える」は、「向かえる」よりも使われる場面が多く、複数の意味合いを持っています。

人や時、物事を自分の側に来させる・受け入れる

最も一般的な意味は、人や特定の時、物事が自分のいる場所や状況に来るのを待ち受けたり、受け入れたりすることです。

  • 例文:
    • 「玄関で大切なお客様を迎える。」(人を)
    • 「家族みんなで新年を迎える。」(時を)
    • 「その物語は、意外な結末を迎えた。」(物事を)
    • 「留学生をホームステイで迎える。」(人を)

人だけでなく、時間的な節目や、出来事の到来など、幅広い対象に対して使われます。

ある時期・段階に達する

特定の年齢や時期、段階に至る、という意味でも使われます。

  • 例文:
    • 「祖父は今年、喜寿を迎える。」(年齢)
    • 「開発プロジェクトが最終段階を迎えた。」(段階)
    • 「桜が満開の時期を迎えている。」(時期)

人生の節目や、物事の進行状況を表す際によく用いられる表現です。

「向かえる」と「迎える」の明確な違いと使い分けポイント

ここまで見てきたように、「向かえる」と「迎える」は意味が異なります。使い分けのポイントを整理しましょう。

ポイント1:動作の方向性・対象

  • 向かえる: 自分がある場所や状況へ「行くことができる」「対応することができる」という、自分から対象への能動的な可能動作。
  • 迎える: 人や時、物事が自分のところへ「来るのを受け入れる」「ある時期・段階に達する」という、対象が自分の側へ来るのを受け止める動作。

簡単な覚え方:

  • 行くことができる → 向かえる
  • 来るものを受け入れる → 迎える

ポイント2:具体的なシーンでの使い分け

シーン適切な表現説明NG例
お客様が来る迎えるお客様が自分の場所に来るのを受け入れるため。お客様を向かえる
新年になる迎える新しい年という時が来るのを受け入れるため。新年を向かえる
ある場所へ行くことができる向かえる自分がその場所へ行くことが可能であるため。ある場所へ迎える
困難に立ち向かうことができる向かえる自分が困難という状況に対応することが可能であるため。困難を迎える
ある年齢になる迎える還暦などの特定の年齢(時期)に自分が達するため。還暦を向かえる
空港に人を迎えに行く迎えに行く人を自分のところに来させる(連れてくる)ために行く。「迎える」の連用形。向かいに行く

特に「迎えに行く」と「向かいに行く」は混同しやすいですが、「迎えに行く」が人を連れてくる意図を含むのに対し、「向かいに行く」は単にその方向へ行く、あるいはすれ違いを意図するような場合に限定されます(例:「向かい風」)。人を迎えに行く場合は「迎えに行く」が正解です。

Q&A|「向かえる」「迎える」に関するよくある疑問

「向かえる」と「迎える」の使い分けに関して、よくある質問とその回答をまとめました。

「春を向かえる」と「春を迎える」はどちらが正しい?

春を迎える」が正しい表現です。「春」という季節(時)が訪れるのを受け入れる、という意味合いなので「迎える」を使います。「春に向かうことができる」という意味にはならないため、「向かえる」は使いません。新年や誕生日なども同様に「迎える」です。

「迎えに行く」と「向かいに行く」の違いは?

前述の通り、「迎えに行く」は、特定の人物などを自分の元へ連れてくる、到着を出迎えるといった目的で、その場所へ行くことを意味します(例:「空港へ友人を迎えに行く」)。一方、「向かいに行く」という表現は一般的ではありません。「向かう」の連用形「向かい」を使った言葉としては「向かい風」「向かい合わせ」などがありますが、「行く」と組み合わせて「人を連れてくる」意味で使うことは通常ありません。

「向かえる」を目上の人に使っても良い?

「向かえる」は「向かうことができる」という可能動詞なので、それ自体に敬意の度合いはありません。使う状況によります。「部長も会議に向かえますか?」のように、相手の都合を確認するような文脈であれば問題ありません。ただし、「迎える」を使うべき場面で誤って「向かえる」を使うと、失礼にあたる以前に、意味が通じなかったり、間違った日本語を使っていると捉えられたりする可能性があります。正しい使い分けが重要です。

まとめ

「向かえる」と「迎える」は、どちらも「むかえる」と読みますが、意味は明確に異なります。

  • 向かえる: 「向かうことができる」という可能の意味。自分がどこかへ行ける、何かに対応できる場合に使う。
  • 迎える: 人や時、物事を自分の側に来させる・受け入れる、あるいは特定の時期・段階に達する場合に使う。

基本的な違いは、動作の方向性です。「行くことができる」なら「向かえる」、「来るものを受け入れる」なら「迎える」と覚えると分かりやすいでしょう。この違いを理解し、文脈に合わせて正しく使い分けることが、円滑なコミュニケーションにつながります。

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