仕事を進める上で、新しい業務や複雑な手順に直面し、「やり方がわからない」と感じる場面は誰にでもあるものです。しかし、それをストレートに表現してしまうと、相手に失礼な印象を与えたり、自身の能力不足を疑われたりする可能性も否定できません。特にビジネスシーンにおいては、適切な言葉遣いを心がけることが重要です。
この記事では、「やり方がわからない」という気持ちを、相手に失礼なく、かつ正確に伝えるための敬語表現について解説します。状況や相手との関係性に応じて適切な表現を使い分けることで、円滑なコミュニケーションを築き、仕事の質を高めることができるでしょう。
「やり方がわからない」気持ち、丁寧な言葉で伝えるには？
「やり方がわからない」という状況を伝える際には、相手に不快感を与えず、かつ質問しやすい雰囲気を作ることが大切です。直接的な表現を避け、相手への配慮を示す言葉を選ぶようにしましょう。
例えば、「わかりません」という直接的な表現は避け、「存じ上げません」や「不勉強で申し訳ございませんが」といった謙譲の気持ちを示す言葉を使うのが適切です。また、質問の意図を明確に伝えるために、「～についてお伺いしてもよろしいでしょうか」のように、許可を求める形にすると、より丁寧な印象になります。
状況別！「やり方がわからない」を表す敬語表現集
状況に応じて適切な敬語表現を選ぶことで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。ここでは、具体的な状況別に「やり方がわからない」を伝えるための敬語表現を紹介します。
基本編：「存じ上げません」「ご教示いただけますでしょうか」
相手にやり方を尋ねる際の基本的な表現として、「存じ上げません」や「ご教示いただけますでしょうか」があります。「存じ上げません」は、自分がその方法を知らないことを丁寧に伝える表現です。「ご教示いただけますでしょうか」は、相手に教えてほしいという気持ちを丁寧に伝える表現で、目上の人に対して使うのに適しています。
例：「大変恐縮ですが、こちらの操作方法について、存じ上げません。」
例：「お忙しいところ申し訳ございませんが、〇〇の手順についてご教示いただけますでしょうか。」
相手に手間をかけさせたくない時：「お忙しいところ恐縮ですが」
相手が忙しい状況で質問をする場合は、「お忙しいところ恐縮ですが」というクッション言葉を添えることで、相手への配慮を示すことができます。この一言があることで、相手は質問に対してより快く対応してくれるでしょう。
例：「お忙しいところ大変恐縮ですが、〇〇の設定方法についてお伺いしてもよろしいでしょうか。」
もう少し詳しく聞きたい時：「恐れ入りますが、具体的に」
手順の一部が曖昧で、もう少し詳しく説明してほしい場合は、「恐れ入りますが、具体的に」という表現を使うと良いでしょう。この表現は、相手にさらに詳しい説明をお願いする際に、相手に負担をかけないように配慮する気持ちを表します。
例：「〇〇の操作について、恐れ入りますが、具体的な手順を教えていただけますでしょうか。」
確認を促したい時：「念のため確認させていただいてもよろしいでしょうか」
自分の理解が正しいか不安な場合や、手順に自信がない場合は、「念のため確認させていただいてもよろしいでしょうか」という表現を使うことで、相手に再確認を促すことができます。この表現は、間違いを防ぎ、正確に業務を進める上で重要です。
例：「〇〇の設定は、△△という認識でよろしいでしょうか。念のため確認させていただいてもよろしいでしょうか。」
ビジネスシーン別！相手に失礼のない伝え方
ビジネスシーンでは、相手との関係性や状況に応じて、より適切な敬語表現を選ぶ必要があります。
上司への報告・相談
上司に対して「やり方がわからない」と伝える場合は、尊敬の念を示す丁寧な言葉遣いを心がけましょう。「ご指導いただけますでしょうか」や「アドバイスをいただければ幸いです」といった表現を使うことで、相手への敬意と協力を仰ぐ姿勢を示すことができます。
例：「〇〇の件で、いくつか不明な点がございます。つきましては、〇〇様にご指導いただけますでしょうか。」
例：「〇〇の進め方について、もしよろしければ、アドバイスをいただければ幸いです。」
顧客への問い合わせ
顧客に対して「やり方がわからない」と伝える場面は、慎重な言葉選びが求められます。顧客に不安を与えないように、「確認させていただきたい事項がございます」や「詳細についてお伺いしてもよろしいでしょうか」といった表現を使うと良いでしょう。
例：「大変恐縮ですが、〇〇について、確認させていただきたい事項がございます。」
例：「〇〇の手順につきまして、詳細についてお伺いしてもよろしいでしょうか。」
社内での質問
同僚や部下に対して質問する場合は、上司に対するほどかしこまる必要はありませんが、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。「教えていただけますか」や「教えてもらえますか」といった表現を使うことができます。相手との関係性に応じて、「いただけますか」よりも「もらえますか」の方が親しみやすい印象を与えることもあります。
例：「〇〇の操作方法について、教えていただけますか？」
例：「この資料の作成方法について、教えてもらえますか？」
さらに丁寧な表現へ！ワンランク上の言い換えフレーズ
さらに丁寧な表現を使いたい場合は、「不慣れなため」や「知識不足で」といった言葉を添えることで、相手に謙虚な印象を与えることができます。
「不慣れなため」「知識不足で」
これらの表現は、自分がその業務に慣れていない、または知識が不足していることを丁寧に伝える際に有効です。これらの言葉を使うことで、相手は質問者がまだ経験が浅いことを理解し、より丁寧に教えてくれる可能性があります。
例：「大変恐縮ですが、この作業は不慣れなため、ご指導いただけますでしょうか。」
例：「私の知識不足で申し訳ございませんが、〇〇について詳しく教えていただけますでしょうか。」
質問する際のクッション言葉
質問の前にクッション言葉を添えることで、相手に与える印象を和らげることができます。「お忙しいところ恐れ入りますが」「ご多忙中とは存じますが」といった言葉を使うことで、相手への配慮を示すことができます。
例：「お忙しいところ恐れ入りますが、〇〇の件についてお伺いしてもよろしいでしょうか。」
例：「ご多忙中とは存じますが、〇〇についてご教示いただけますでしょうか。」
注意点！避けるべきNG表現と好印象を与えるポイント
「やり方がわからない」と伝える際に、避けるべき表現や、好印象を与えるためのポイントを把握しておきましょう。
言い訳がましい表現はNG
「時間がなくてできなかった」「誰も教えてくれなかった」といった言い訳がましい表現は、責任転嫁と捉えられ、相手に不快感を与える可能性があります。素直に「わからない」という状況を伝え、教えてもらう姿勢を示しましょう。
感謝の気持ちを添える
教えてもらった後は、必ず感謝の気持ちを伝えましょう。「ありがとうございます」はもちろん、「大変助かります」や「おかげさまで理解できました」といった具体的な感謝の言葉を添えることで、相手との良好な関係を築くことができます。
具体的に質問する
漠然と「やり方がわからない」と伝えるのではなく、「〇〇の手順の△△の部分がわかりません」のように、具体的に質問することで、相手は的確なアドバイスをしやすくなります。また、事前に自分で調べてみた結果を伝えることで、学ぶ意欲があることを示すことができます。
「やり方がわからない」をポジティブに捉えるには？
「やり方がわからない」という状況は、新しいことを学ぶチャンスでもあります。わからないことを素直に認め、質問することは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、積極的に質問することで、自身の成長につなげることができます。
積極的に質問する姿勢は、周りの人からの信頼を得ることにもつながります。「わからないことはそのままにせず、きちんと確認する人」という印象を与えることで、より重要な仕事を任せてもらえる可能性も高まります。
まとめ
「やり方がわからない」という状況を伝えるための敬語表現は、状況や相手との関係性によって使い分けることが重要です。この記事で紹介した様々な表現を参考に、相手に失礼なく、かつ正確に自分の状況を伝えられるように練習しましょう。適切な言葉遣いを身につけることで、ビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力は向上し、よりスムーズに仕事を進めることができるはずです。わからないことを曖昧にせず、積極的に質問する姿勢を持つことが、自身の成長にもつながることを忘れずに、日々の業務に取り組んでいきましょう。
