「おくんなまし」の意味とは?方言なの?男性も使う?使い方を解説!

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時代劇のセリフや、人気お笑いコンビ「ぺこぱ」のツッコミ、あるいは人気アーティスト「ヨルシカ」の歌詞などで、「おくんなまし」という、どこか古風で耳に残る言葉を聞いたことはありませんか? 「『〜してください』っていう意味なのかな?」「これって、どこの方言なんだろう?」「もしかして、女性しか使わない言葉?」と、その正確な意味や背景について、疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、「おくんなまし」という言葉の正しい意味と語源から、方言なのかどうか、廓言葉(くるわことば)との関係、そして現代でのユニークな使われ方まで、皆さんの疑問に寄り添いながら、分かりやすく解説していきます。

言葉の持つ歴史や文化を知ることは、私たちの知識を深め、コミュニケーションをより豊かなものにしてくれます。この記事を読めば、「おくんなまし」に関する疑問が解消され、この言葉が持つ独特の響きや、その奥深い背景を楽しめるようになるはずです。

「おくんなまし」の基本的な意味と語源

まず、「おくんなまし」という言葉が持つ基本的な意味と、その言葉がどのようにして生まれたのか、語源について見ていきましょう。

「おくんなまし」は「〜してください」の丁寧な表現

「おくんなまし」とは、「〜してください」「〜ちょうだい」という意味を持つ、丁寧な依頼や要求の表現です。現代語の「ください」を、より古風で、柔らかくした言葉だと理解すると分かりやすいでしょう。

  • 基本的な使い方:
    • 動詞の連用形(「〜して」の形)に接続して使います。
    • 例:「見ておくんなまし」(見てください)、「話しておくんなまし」(話してください)
  • 敬意の度合い:
    • 「〜なさい」よりも丁寧で、相手への敬意や、へりくだった気持ちが込められています。

言葉の成り立ち:「おくりゃれませ」からの変化

「おくんなまし」の語源は、古語に由来します。

  • 「おくれ」+「なまし」ではない:
    • 一見すると、「おくれ」という言葉に何かが付いたように見えますが、そうではありません。
  • 「おくりゃれませ」の音変化:
    • 元々は、「賜る(たまわる)」の命令形である「給(た)べ」に由来する「おくりゃれませ」という言葉でした。
    • これが、発音しやすいように「おくんされませ」→「おくんあまし」→「おくんなまし」と、時代と共に音が変化していったと考えられています。

品詞分解で見る「おくんなまし」の構造

「おくんなまし」を品詞分解すると、その構造がより明確になります。

  • お-くり-な-まし:
    • お: 接頭語
    • くり: 動詞「くれる」の連用形
    • な: 尊敬の助動詞「なさる」の命令形「なさい」が変化したもの
    • まし: 丁寧の助動詞「ます」が変化したもの
      このように、「おくんなまし」は、複数の敬語が組み合わさってできた、非常に丁寧な言葉なのです。

【つまずきやすいポイント】「おくんなまし」はどこの方言?

「おくんなまし」という独特の響きから、「どこかの地域の方言なのかな?」と考える方は非常に多いです。これが、この言葉を理解する上で最もつまずきやすいポイントの一つです。

特定の方言ではなく、古語に由来する言葉

結論から言うと、「おくんなまし」は、特定の地域の方言ではありません

  • 江戸時代に使われた言葉:
    • 「おくんなまし」は、主に江戸時代の江戸(現在の東京)で使われていた言葉遣い(江戸言葉)の一つです。
    • 特に、遊郭などで働く女性たちが使っていた言葉として知られています。
  • 古語としての側面:
    • そのルーツは、さらに古い時代の言葉に遡ることができます。そのため、「方言」というよりも、「古語」や「歴史的な言葉遣い」と捉えるのが適切です。

関西弁「おくんなはれ」など、地域ごとの類似表現

「おくんなまし」が特定の方言ではない一方で、似たような意味を持つ表現は、日本各地の方言に存在します。

  • おくんなはれ(関西弁):
    • 「〜してください」を意味する、京都や大阪などで使われる丁寧な表現です。
  • おくれやす(京都弁):
    • こちらも、「〜してください」を意味する、京都らしい柔らかい響きの言葉です。
  • つかあさい(広島弁など):
    • 「〜してください」を意味する、中国・四国地方などで使われる言葉です。

これらの表現は、「おくんなまし」が持つ「丁寧な依頼」というニュアンスを、それぞれの地域の言葉で表現したものと言えるでしょう。

「おくんなまし」と廓言葉(くるわことば)の関係

「おくんなまし」という言葉のイメージには、「廓言葉(くるわことば)」が深く関わっています。

廓言葉としての「おくんなまし」

廓言葉とは、江戸時代の遊郭で、遊女たちが使っていた特殊な言葉遣いのことです。

  • 出身地を隠すため:
    • 遊女たちは、日本全国様々な地域から集まってきていました。自身の出身地(方言)を隠し、客に対して洗練された印象を与えるために、「〜ありんす」といった、独特の廓言葉が生まれました。
  • 「おくんなまし」の役割:
    • 「おくんなまし」も、この廓言葉の一つとして、客への丁寧な依頼や甘えの表現として使われていたとされています。

花魁言葉との誤解と実際の使われ方

「おくんなまし」は、しばしば「花魁(おいらん)言葉」と同一視されることがありますが、厳密には少し異なります。

  • 花魁言葉:
    • 花魁は、遊女の中でも最高位の特別な存在です。彼女たちが使う言葉は、廓言葉の中でも特に格式高く、洗練されたものでした。
  • 幅広い層での使用:
    • 「おくんなまし」は、花魁だけでなく、より広い層の遊女や、場合によっては町人の女性なども使っていた、比較的ポピュラーな丁寧語であったと考えられています。

現代での「おくんなまし」の使い方と例文

現代の日常会話で「おくんなまし」を使う機会はほとんどありませんが、創作物や特定の文脈では、その独特の響きが効果的に使われています。

男性も使う?時代劇や創作物での使われ方

「おくんなまし」は女性的な響きを持つ言葉ですが、男性が使うこともあります。

  • 時代劇での使用:
    • 時代劇では、身分の高い武士や、年配の男性などが、威厳や古風な雰囲気を出すために「〜しておくんなまし」といった形で使うことがあります。
  • キャラクターの個性付け:
    • アニメや漫画、ゲームなどの創作物では、キャラクターの個性(古風、おっとりしている、ミステリアスなど)を際立たせるために、性別を問わず「おくんなまし」という言葉が使われることがあります。

ヨルシカの歌詞や「ぺこぱ」のツッコミなど、現代の文脈

現代のエンターテイメントの中でも、「おくんなまし」は印象的に使われています。

  • ヨルシカの楽曲:
    • 人気アーティスト「ヨルシカ」の楽曲の中に、「おくんなまし」という言葉が歌詞として登場し、若い世代にもその存在が知られるきっかけとなりました。古風な言葉が、楽曲の世界観に深みを与えています。
  • ぺこぱのツッコミ:
    • お笑いコンビ「ぺこぱ」の松陰寺太勇さんが、「〜してくれてもいい、いや、しておくんなまし!」といった形で、ツッコミのフレーズとして使用しています。これにより、「誰も傷つけないツッコミ」という優しい雰囲気と、ユーモラスなキャラクターが際立っています。

「やめておくんなまし」「許しておくんなまし」などの具体的な例文

  • やめておくんなまし: 「やめてください」の丁寧で古風な表現。
  • 許しておくんなまし: 「許してください」
  • 教えておくんなまし: 「教えてください」
  • 来ておくんなまし: 「来てください」

これらの表現は、現代で使うと、少し芝居がかった、あるいはユーモラスな印象を与えることが多いでしょう。

「おくんなまし」に関するよくある質問

「おくんなまし」という言葉について、皆さんが疑問に思われがちな点についてQ&A形式で解説します。ここでの情報が、皆さんの疑問を解消する一助となれば幸いです。

「おくんなはれ」は方言ですか?

はい、「おくんなはれ」は、主に関西地方(大阪や京都など)で使われる方言です。「〜してください」を意味する丁寧な依頼表現で、「おくんなまし」の関西版、と考えると分かりやすいかもしれません。

方言で「なまし」とは何ですか?

「おくんなまし」の「なまし」は、丁寧の助動詞「ます」が変化したものであり、単体で意味を持つわけではありません。
ただし、全く別の言葉として、鹿児島弁などでは、「なまし」が「未熟」「生(なま)」を意味する方言として存在します。これは、「おくんなまし」とは全く関係のない言葉です。

京都弁の「おくれやす」の意味は?

京都弁の「おくれやす」も、「おくんなまし」と同様に、「〜してください」「〜ちょうだい」を意味する、非常に丁寧で柔らかい依頼表現です。「やす」という語尾が、京都らしい上品な響きを生み出しています。

「かなわん」とはどういう意味ですか?

「かなわん」とは、「敵わない」「我慢できない」「困る」といった意味を持つ言葉で、主に関西地方で使われます。「あの人のマイペースぶりには、かなわんわあ」といったように、呆れや困惑の気持ちを表す際に使われることが多いです。


まとめ

「おくんなまし」とは、「〜してください」「〜ちょうだい」を意味する、古風で丁寧な依頼表現です。「ください」よりも柔らかく、相手への敬意が込められています。

その語源は古語にあり、主に江戸時代の江戸で使われていた言葉で、特定の方言ではありません。遊女が使っていた「廓言葉(くるわことば)」の一つとしても知られていますが、花魁だけでなく、より広い層で使われていました。

現代の日常会話で使われることは稀ですが、時代劇や創作物の中で、キャラクターの個性を際立たせるために、男性・女性を問わず使われます。また、「ヨルシカ」の歌詞や、「ぺこぱ」のツッコミのように、エンターテイメントの世界でその独特の響きが活かされています。

この記事を通じて、「おくんなまし」の正しい意味、その歴史的背景、そして現代でのユニークな使われ方についての疑問が解消され、この言葉が持つ奥深い魅力への理解が深まったなら幸いです。

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