漢字の学習や、手書きで文字を書く時、あるいは単に漢字に興味があって、「『まだれ』という部首に『比』という漢字を組み合わせた文字って、どんな熟語があるんだろう？」と考えたことはありませんか？ 部首の「まだれ」（广）と「比」という組み合わせから、どのような意味を持つ漢字ができあがるのか、気になる方もいるでしょう。しかし、いざ考えてみようとしても、意外とすぐに思いつく熟語は少ないかもしれません。
この記事では、そんな「まだれ に 比」という漢字の組み合わせからできる文字と、それを使った熟語について詳しく解説します。その漢字が持つ意味や成り立ち、そしてなぜその熟語が使われるのかなど、漢字の面白さに迫ります。「まだれ」に「比」と書く漢字について知りたい方、関連する熟語を覚えたい方は、ぜひ参考にしてください。
「まだれ」に「比」と書く漢字とは？
まず、「まだれ」という部首と「比」という漢字を組み合わせることで、どのような漢字が出来上がるのかを確認しましょう。そして、その漢字が持つ基本的な意味を見ていきます。
できた漢字は「庇」
「まだれ」（广）と「比」を組み合わせることでできる漢字は、「庇」です。読み方は、音読みで「ヒ」、訓読みで「おおう」「かばう」などがあります。
「庇」という漢字の成り立ちと意味
「庇」という漢字は、部首の「まだれ」（广）と旁（つくり）の「比」から成り立っています。
漢字「庇」の成り立ち
- 部首「まだれ」（广）: 「家屋」や「建物」に関連する意味を表します。建物の側面や軒先といったイメージです。
- 旁「比」: 「比べる」「並べる」といった意味を表しますが、ここでは「並び合うものが互いに寄り添う」といったニュアンスで使われていると考えられます。
漢字「庇」の主な意味
これらの組み合わせから、「庇」という漢字は、建物の側面や軒先が張り出して、雨や日差しを遮る部分を指すようになりました。ここから派生して、何かを覆い隠す、守る、かばうといった意味合いも持つようになりました。
- 建物の庇: 軒先から突き出た、雨や日差しを防ぐ部分。
- 覆い隠す: 何かを隠す、見えなくする。
- 守る・かばう: 弱いものや不正などから、身を守る、あるいは擁護する。
このように、「庇」という漢字は、物理的な「建物の庇」から、比喩的な「守る」「かばう」といった意味まで、幅広いニュアンスを持っています。
「庇」を使った熟語一覧：意外と少ない？
「庇」という漢字を使った熟語は、他の一般的な漢字に比べると、日常的に見かける機会が少ないかもしれません。しかし、いくつかの熟語が存在し、特定の文脈で使われています。
庇護（ひご）
説明
「庇」の「守る」「かばう」という意味と、「護」の「守る」「保護する」という意味が組み合わさった熟語です。
「庇護」の意味
弱いものや困っているものを、かわいそうに思ってかばい守ること。 保護や援助を必要とする人やものを、温かく見守り、助けるといったニュアンスで使われます。
「庇護」を使った例文
- 孤児院は、親を亡くした子供たちを庇護している。
- 彼は、先輩の庇護のもと、順調に成長した。
- 政治的な庇護を求める難民が増えている。
人や組織が、他者を守る、助けるといった文脈で使われることが多いです。
庇う（かばう）
説明
「庇」の訓読みである「かばう」を使った言葉です。動詞として単独で使われることもありますが、他の言葉と組み合わせて熟語のような形で使われることもあります。
「庇う」の意味
弱いものや不正などに対して、自分の身代わりになったり、擁護したりすること。 相手を非難や攻撃から守ったり、責任追及から逃れさせようとしたりする行為を指します。
「庇う」を使った例文
- 彼は、友達の失敗を庇ってくれた。
- 親は、子供の過ちを庇いがちだ。
- 部下を庇うことができる上司になりたい。
「庇護」が比較的客観的な「守る」「保護する」というニュアンスであるのに対し、「庇う」は、より個人的な関係性の中で、誰かを擁護する、責任を肩代わりするといった、主観的なニュアンスが強いと言えます。
庇護欲（ひごよく）
説明
「庇護」と「欲」が組み合わさった言葉です。
「庇護欲」の意味
弱いものや困っているものを、かばい守りたいという気持ち。 誰かを助けたい、守ってあげたい、という保護的な欲求を指します。
「庇護欲」を使った例文
- 彼女の頼りない姿を見て、思わず庇護欲が湧いた。
- 動物を見ると、庇護欲を掻き立てられる。
主に人間の感情や心理について使われる言葉です。
雨庇（あまびさし）
説明
「雨」と「庇」が組み合わさった言葉です。
「雨庇」の意味
窓や出入り口などの上部に取り付けられ、雨を防ぐための小さな庇。 建物の外壁から突き出た、雨よけのための構造物を指します。
「雨庇」を使った例文
- 窓の上に雨庇を取り付けた。
- 雨庇のおかげで、雨の日でも窓を開けられる。
これは、「庇」という漢字の本来の意味である「建物の庇」に関連する熟語です。
その他、可能性のある熟語
上記以外にも、地名や人名などに「庇」という漢字が使われている場合や、あまり一般的ではない熟語が存在する可能性もゼロではありませんが、日常的に使われる「庇」を使った熟語としては、上記が代表的なものと言えるでしょう。意外と数が少ないと感じる方が多いのも頷けます。
なぜ「庇」を使った熟語は少ない？
「庇」という漢字自体は知っていても、それを組み合わせた熟語がすぐに思い浮かばない、と感じる人が多いのはなぜでしょうか？
漢字「庇」の使われ方の特徴
漢字「庇」の主な使われ方
- 単独での訓読み: 「庇う（かばう）」のように、動詞として単独で使われることが多いです。
- 名詞としての単語: 「庇（ひさし）」と単独で名詞として使われることもあります（この場合は「庇」一文字で「ひさし」と読みます）。
- 限定的な熟語: 上記で紹介したように、「庇護」「雨庇」など、使われる熟語の数が限られています。
このように、「庇」という漢字は、他の漢字と組み合わせて多くの熟語を作るよりも、単独で使われたり、特定の限られた熟語の中で使われたりする傾向があるため、結果として「庇」を使った熟語が少ないと感じられると考えられます。
「庇」に関するQ&A｜よくある疑問
「庇」という漢字や、それに関する熟語について、さらによくある疑問にお答えします。
「まだれ」という部首は何を表しますか？
「まだれ」（广）という部首は、主に家屋や建物、あるいはそれに関連するものを表します。建物の屋根と壁の一部を横から見た形から来ており、「広（ひろい）」、「度（たび、わたる）」、「店（みせ）」、「府（まち）」、「庫（くら）」など、建物や空間、広さなどに関連する漢字に使われています。
「比」という漢字は他にどんな意味がありますか？
「比」という漢字は、主に以下の意味を持ちます。
漢字「比」の主な意味
- くらべる: 二つ以上のものを比べて、違いや共通点を見つける。（例: 比較、対比）
- ならべる: 二つ以上のものを並べる。（例: 比肩）
- わりあい: 全体に対する部分の割合。（例: 比率、比例）
- 親しい: 親しく寄り添う。（例: 比翼の鳥 – 二羽並んで飛ぶ伝説上の鳥）
「庇」の場合は、「並び合うものが互いに寄り添う」といった、「親しい」や「並べる」に近いニュアンスが成り立ちに関わっていると考えられます。
「庇」と「ひさし」は同じ意味ですか？
はい、「庇」という漢字は、「ひさし」と読む場合、建物の軒先などから突き出た、雨や日差しを防ぐ部分を意味します。これは、「庇」という漢字の本来の意味の一つです。「雨庇」のように他の漢字と組み合わせて「ひさし」に関連する言葉を作ることもあります。
まとめ
漢字で「まだれ」に「比」と書く漢字は、「庇」です。この漢字は、建物の軒先などの「庇」を指すとともに、「守る」「かばう」といった比喩的な意味も持ちます。
「庇」を使った代表的な熟語としては、
「庇」を使った代表的な熟語
- 庇護（ひご）： 弱いものをかばい守ること。
- 庇う（かばう）： 弱いものや不正などを擁護すること（動詞の訓読み）。
- 庇護欲（ひごよく）： かばい守りたいという気持ち。
- 雨庇（あまびさし）： 雨よけのための小さな庇。
などがありますが、他の漢字に比べると、この漢字を使った熟語の数は少ない傾向にあります。これは、「庇」が単独で使われたり、限られた熟語の中で使われたりする傾向があるためと考えられます。
「庇」という漢字の成り立ちや意味、そして関連する熟語を知ることで、言葉への理解が深まります。この記事が、「まだれ に 比」という漢字に関するあなたの疑問を解消するお役に立てれば幸いです。
