「もとい」は失礼?ビジネスでの正しい使い方と言い換え表現【例文付き】

日記
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「昨日の会議は10時、もとい、11時でしたね」

このように、自分の言い間違いに気づいた時、その場でサッと訂正するのに便利な言葉「もとい」。
日常会話では何気なく使っていますが、上司や取引先の前でうっかり使ってしまい、「あれ、今の言い方失礼だったかな…?」と冷や汗をかいた経験はありませんか?

この記事では、「もとい」が失礼にあたるケースと、ビジネスシーンで使うべき正しい言い換え表現、そしてよく混同される「改め」との決定的な違いについて解説します。

正しい言葉選びを知って、スマートなコミュニケーションを身につけましょう。

結論:「もとい」は目上の人には使わない方が無難

まず結論からお伝えすると、目上の人や社外の人に対して「もとい」を使うのは避けた方が無難です。

なぜ失礼に聞こえる?「もとい」のニュアンス

「もとい」は漢字で「元い」と書き、「元に戻る」という意味があります。発言を撤回して言い直す機能はありますが、そこに「申し訳ない」という謝罪のニュアンスはほとんど含まれていません。

そのため、ミスをしたにも関わらず「あ、違った、こっち」と軽く流しているような印象を与えてしまい、相手によっては「反省していない」「偉そうだ」と受け取られるリスクがあります。

ビジネスで使うなら「同僚」や「部下」まで

もちろん、言葉自体が悪いわけではありません。
「もとい」が許容されるのは、気心の知れた同僚や部下、後輩との会話、あるいは独り言のように自分のミスを訂正する場合です。
「緊張感のある会議」や「謝罪が必要な場面」では、必ず別の言葉に言い換えましょう。

【シーン別】「もとい」の言い換え・類語リスト

相手や状況に合わせて、最適な「訂正」の言葉を選ぶことが、大人のマナーです。以下のリストを参考に使い分けてみてください。

相手・シーンおすすめの言い換え例文
友人・家族「いや」「じゃなくて」「昨日はカレー、いや、シチューだった。」
同僚・部下「もとい」「訂正」「A案で進めて。もとい、やっぱりB案で。」
上司・社内「失礼しました」「訂正します」「担当は鈴木です。失礼しました、佐藤です。」
取引先・謝罪「申し訳ございません」「訂正いたします」「100円と申しましたが誤りでございました。正しくは120円でございます。申し訳ございません。」

ビジネスで最も安全で汎用性が高いのは、「失礼しました、正しくは〇〇です」という表現です。これなら誰に対しても角が立ちません。

「もとい」と「改め」の決定的な違い【使い分け表】

「〇〇、もとい、××」「〇〇、改め、××」。
どちらも「言い直す」場面で使われますが、その役割は全く異なります。

  • もとい(訂正):マイナス(間違い)をゼロ(正解)に戻す
    直前の発言が「間違い」だったため、それを打ち消して正しい情報に書き換える時に使います。
    • 例文: 「明日は雨、もとい、晴れの予報です。」
  • 改め(更新):ゼロ(旧)をプラス(新)にする、または切り替える
    直前の発言や状態は間違いではなく、心機一転して新しい情報を提示したり、場面を切り替えたりする時に使います。
    • 例文: 「新年明けましておめでとうございます。改めまして、本年もよろしくお願いいたします。」
    • 例文: 「田中、改め、鈴木(結婚して姓が変わった場合など)」

「もとい」の正しい使い方と例文

では、「もとい」は具体的にどのような場面で使うのが効果的なのでしょうか。

① 日常会話でのスマートな言い直し(あ、もとい)

会話のテンポを崩さずに、軽い言い間違いを修正したい時に便利です。「あ、もとい」と短く挟むことで、スムーズに正しい情報へ誘導できます。

  • 「駅前のカフェ、あ、もとい、本屋の前に集合ね。」

② 自分の発言を「あえて」訂正して強調するテクニック

一度わざと言い間違えてから訂正することで、後に続く「本音」や「重要な事実」を強調するレトリック(修辞技法)として使われることもあります。

  • 「彼は天才だ。もとい、ただの努力家だ。(才能ではなく努力であることを強調)」
  • 「これは我々のピンチだ。もとい、最大のチャンスだ。(ポジティブさを強調)」

③ 文章で使う場合の注意点

メールやチャットなどの書き言葉では、「もとい」はあまり使われません。話し言葉のニュアンスが強いため、ふざけているような印象を与える可能性があります。
文章で訂正する場合は、最初から書き直すか、送信後であれば「訂正:〇〇 → ××」と事務的に送るのが確実です。

よくある質問

Q. 「もとい」の語源は?軍隊用語って本当?

A. 諸説ありますが、軍隊の号令で「元へ(列に戻れ)」という意味で使われていた言葉が一般化した、という説が有名です。また、建築用語の「基礎(基=もとい)」から、「基本に戻る」という意味で使われたという説もあります。いずれにせよ、「元の状態に戻す」という意味が根本にあります。

Q. 自分の間違い以外(他人の発言)に使うのは誤用ですか?

A. 基本的には自分の発言に対して使います。他人の言い間違いに対して「〇〇、もとい、××ですね」と指摘するのは、相手の言葉を遮って訂正することになり、かなり上から目線な印象を与えます。喧嘩腰に聞こえるので避けましょう。

Q. 「もとい」を使うと「古い」「偉そう」と思われる?

A. 少し古風な言葉であるため、若者世代には「おじさん言葉」や「時代劇っぽい」と感じられることがあります。また、前述の通り軍隊用語のイメージを持つ人もいるため、威圧感を与えてしまう可能性もゼロではありません。柔らかい印象を与えたい場合は「じゃなくて」「言い直すと」などを使うのがおすすめです。

まとめ

「もとい」は便利な言葉ですが、使う相手と場面を選ぶ必要があります。

  • 目上の人・取引先: 使わない。「失礼しました」「申し訳ございません」で訂正する。
  • 同僚・部下: 使ってOK。会話のテンポ良く訂正できる。
  • 違い: 「もとい」は間違いの訂正、「改め」は心機一転の更新。

言葉の持つニュアンスを正しく理解し、TPOに合わせた「言い換え」ができるようになれば、ビジネスパーソンとして一歩レベルアップできるはずです。

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