なぜ?メジャーリーグの地区分けがおかしいと言われる3つの理由と不公平感

日記
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メジャーリーグのシーズン終盤、順位表を見ていて「なんでこんなに強いチームばかりの地区があるんだ?」「あのチーム、あっちの地区なら余裕で優勝なのに…」と感じたことはありませんか?

あるいは、勝率は高いのにワイルドカード争いに敗れたチームと、それより低い勝率で地区優勝し、悠々とポストシーズンに進むチームを見て、「この仕組み、おかしくない?」と疑問に思ったことがあるかもしれません。

その違和感は正しく、多くのMLBファンが感じている構造的な問題です。この記事では、なぜメジャーリーグの地区分けが「おかしい」「不公平だ」と言われるのか、その3つの大きな理由を分かりやすく解説します。

そもそもメジャーリーグの地区分けとは?【基本の仕組み】

まず、基本となるリーグ構成をおさらいしましょう。

ア・リーグとナ・リーグ、それぞれに「東・中・西」

MLBは、「アメリカン・リーグ(ア・リーグ)」「ナショナル・リーグ(ナ・リーグ)」の2つのリーグで構成されています。
そして、その各リーグが、さらに地理的な要因に基づいて「東地区」「中地区」「西地区」の3つの地区に分けられています。

  • ア・リーグ: 東地区(5球団)、中地区(5球団)、西地区(5球団)
  • ナ・リーグ: 東地区(5球団)、中地区(5球団)、西地区(5球団)

合計で30球団が、この6つの地区のいずれかに所属しています。

理由1:地区間の「戦力格差」による不公平問題

「おかしい」と感じる最大の理由が、この地区ごとの圧倒的な戦力差です。

「死の地区」と「楽な地区」が存在してしまう現実

理想的には各地区の戦力が拮抗しているのが望ましいですが、現実にはチームの補強戦略や育成サイクルの影響で、特定の地区に強豪チームが集中することが頻繁に起こります。

  • 死の地区: 複数の強豪チームがひしめき合い、熾烈な優勝争いとワイルドカード争いを繰り広げる地区。貯金があっても地区最下位になることすらある。
  • 楽な地区: 勝ち越しているチームが一つしかないなど、比較的競争が緩やかな地区。

これにより、「A地区の3位チームの方が、B地区の優勝チームより強い」という現象が起きてしまいます。

具体例:2023年のア・リーグ東地区 vs 中地区の格差

この問題が顕著に表れたのが2023年シーズンです。

ア・リーグ東地区 (2023)順位ア・リーグ中地区 (2023)順位
オリオールズ (101勝)1位ツインズ (87勝)1位
レイズ (99勝)2位タイガース (78勝)2位
ブルージェイズ (89勝)3位ガーディアンズ (76勝)3位
ヤンキース (82勝)4位ホワイトソックス (61勝)4位
レッドソックス (78勝)5位ロイヤルズ (56勝)5位

ア・リーグ東地区は、なんと所属する5球団全てがシーズンを勝ち越しで終えるという、歴史的な「死の地区」でした。一方で、中地区は地区優勝したツインズ以外、全てのチームが負け越しています。
この結果、多くのファンが「不公平だ」と感じるのは自然なことでしょう。

理由2:プレーオフ制度がもたらす「勝利数の逆転」現象

地区間の戦力格差が、ポストシーズン(プレーオフ)の出場権をめぐって、さらなる「不公平感」を生み出します。

地区優勝チームは自動でポストシーズンへ

MLBのポストシーズンには、各リーグから以下のチームが進出します。

  • 各地区の優勝チーム(3チーム)
  • ワイルドカード(地区優勝を逃したチームの中で勝率上位の3チーム)

この「地区優勝チームは自動的に進出できる」というルールが、勝利数の逆転現象を引き起こします。

なぜ「88勝で敗退」と「87勝で進出」が起こるのか

先ほどの2023年の例で見てみましょう。

  • ツインズ(中地区優勝): 87勝でポストシーズン進出が決定。
  • マリナーズ(西地区3位): 88勝したにもかかわらず、ワイルドカード争いで敗れ、ポストシーズンに進出できず。

ツインズより1勝多くても、競争の激しい地区にいたマリナーズは涙を呑む結果となりました。このような「勝っているのに報われない」チームが出てくることが、「地区分けはおかしい」という批判に繋がっています。

理由3:歴史的な経緯で生まれた「地理的におかしい」チーム

戦力や制度だけでなく、純粋に「なぜこのチームがこの地区に?」という地理的な歪みも存在します。

なぜブレーブスとレッズは「西地区」だったのか?

最も有名な例が、1969年に地区制が導入された際のナショナル・リーグです。
アトランタ・ブレーブス(ジョージア州)とシンシナティ・レッズ(オハイオ州)は、地理的にはどう見てもアメリカ東部〜中部に位置しますが、なんと「西地区」に組み込まれました。

これは、当時のチーム間の力関係や、シカゴ・カブスとセントルイス・カージナルスという人気球団を同じ地区に残したいという興行的な都合が優先された結果と言われています。

現在では地区の再編が行われ、このような極端な歪みは解消されていますが、今でも「テキサス・レンジャーズが西地区」「ミルウォーキー・ブルワーズがナ・リーグ中地区」など、歴史的な経緯を汲んだ少し不思議な地区分けが残っています。

今後どうなる?「地区再編」や球団拡張の可能性

このような不公平感を解消するため、ファンやメディアの間では「地区再編」の議論が絶えず行われています。

2地区制や4地区制への再編案

  • 現在の3地区制を廃止し、ア・リーグとナ・リーグをそれぞれ「東地区(8チーム)」「西地区(7チーム)」の2地区に再編する案。
  • あるいは、リーグの垣根を越えて、地理的に近い4つの地区(各7〜8チーム)に分ける4地区制の案など。

新球団(エクスパンション)が議論を加速させるか

また、MLBは現在30球団から32球団への拡張(エクスパンション)を検討しています。もし新球団が2つ誕生すれば、それを機に地区の枠組みを根本から見直す、大規模な再編が行われる可能性は十分にあります。

まとめ

メジャーリーグの地区分けが「おかしい」「不公平」と感じられるのは、単なる気のせいではありません。

  • 理由1(戦力): 強豪が集中する「死の地区」とそうでない地区の格差が激しい。
  • 理由2(制度): 地区優勝が優先されるため、勝率の高いチームがプレーオフに進めないことがある。
  • 理由3(歴史): 地理的な位置関係とは必ずしも一致しない、歴史的経緯による歪みがある。

これらの問題はMLB機構も認識しており、将来的にはより公平で分かりやすい形への「地区再編」が行われるかもしれません。地区間のアンバランスさに注目しながら観戦すると、また違った視点でメジャーリーグを楽しめるはずです。

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