近年、少子高齢化や人手不足を背景に、シニア世代の労働力に注目が集まっています。定年退職後も働き続けたい、セカンドキャリアを築きたいと考える人が増えているのです。一方で、「パートとして働きたいけれど、年齢がネックにならないだろうか」「何歳まで働くことができるのだろうか」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。この記事では、パートは何歳まで働けるのか、定年の年齢、シニア世代が働きやすい仕事や働き方、そして70歳まで働くための仕事の探し方などについて詳しく解説します。
パートに年齢制限はある?法律からみた実情
パートタイム・有期雇用労働法とは
パートタイム労働者の雇用環境については、「パートタイム・有期雇用労働法」で定められています。この法律では、パートタイム労働者(短時間労働者)と有期雇用労働者(期間の定めのある労働契約を結んでいる労働者)の公正な待遇を確保し、働きやすい環境を整備することが目的とされています。
年齢を理由とした差別は禁止
年齢を理由とした差別は、基本的に禁止されています。「雇用対策法」では、事業主に対して労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えることを義務付けています。つまり、年齢を理由に応募を拒否したり、採用の可否を決定したりすることは、原則としてできないということです。ただし、例外的に年齢制限が認められる場合もあります。
例外的に年齢制限が認められるケース
例外的に年齢制限が認められるケースとしては、以下のようなものがあります。
- 定年年齢を上限として、その年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
- 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
- 60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合
求人情報に年齢制限が記載されている場合は、これらの例外に該当している可能性があります。
シニア歓迎の求人が増えている背景
人手不足とシニア層の労働力への期待
現在、多くの業界で人手不足が深刻な問題となっています。特に、少子高齢化が進む日本では、労働力人口の減少が大きな課題です。そのため、企業はシニア層の労働力に大きな期待を寄せています。シニア層は、豊富な経験と知識、高い責任感を持っていることが多く、企業にとって貴重な戦力となる可能性があります。
シニア世代の働く意欲の高まり
一方、シニア世代の働く意欲も高まっています。年金受給年齢の引き上げや、健康寿命の延伸などにより、定年退職後も働き続けたいと考える人が増えているのです。また、生きがいや社会とのつながりを求めて、仕事を探すシニア世代も少なくありません。
政府による高齢者の就労支援
政府も、高齢者の就労を支援する様々な施策を打ち出しています。「高年齢者雇用安定法」の改正により、企業には70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。また、ハローワークでは、シニア世代向けの職業相談や職業紹介、各種セミナーなどを実施しています。
60歳以上・70歳まで働ける!女性におすすめのパートの仕事
経験やスキルを活かせる仕事
シニア世代は、長年の社会経験で培ったスキルや知識を活かせる仕事がおすすめです。例えば、事務職であれば、パソコンスキルやビジネスマナーが求められます。また、接客業であれば、コミュニケーション能力や顧客対応力が活かせます。さらに、専門的な資格や経験を持っている場合は、その分野での仕事を探すのも良いでしょう。
体力的な負担が少ない仕事
年齢を重ねると、体力的な負担が大きい仕事は避けたほうが良いでしょう。例えば、立ち仕事や重いものを持つ仕事は、体に負担がかかります。座ってできる仕事や、軽作業など、体力的な負担が少ない仕事を選ぶと、長く働き続けることができます。
柔軟な働き方ができる仕事
シニア世代には、家庭の事情や健康状態に合わせて、柔軟な働き方ができる仕事が人気です。例えば、短時間勤務や週に数日だけの勤務、在宅勤務など、自分のライフスタイルに合わせて働ける仕事を選ぶと、無理なく働き続けることができます。
具体的な仕事例
シニア女性におすすめのパートの仕事としては、以下のようなものがあります。
- 事務職: データ入力、書類作成、電話応対など
- 軽作業: 商品の検品、梱包、仕分けなど
- 清掃: オフィス、店舗、マンションなどの清掃
- 販売: スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどのレジ、品出し
- 接客: 飲食店、ホテル、アパレルショップなどの接客
- コールセンター: 電話による問い合わせ対応、顧客サポート
- 家事代行: 掃除、洗濯、料理などの家事代行サービス
- 介護補助: 介護施設での食事介助、入浴介助、排泄介助など(資格が必要な場合あり)
- 保育補助: 保育園での保育補助(資格が必要な場合あり)
- 在宅ワーク: データ入力、Webライター、オンライン事務など
これらは一例であり、他にも様々な仕事があります。自分の興味やスキル、体力、希望する働き方に合わせて、仕事を選ぶことが大切です。
パートの求人情報の探し方
ハローワーク
ハローワークは、厚生労働省が運営する公共職業安定所です。全国各地に設置されており、無料で職業相談や職業紹介を受けることができます。ハローワークには、シニア向けの求人情報も多数掲載されています。また、シニア世代向けの就職支援セミナーなども開催されています。
求人サイト・求人情報誌
インターネットの求人サイトや求人情報誌にも、シニア向けの求人情報が掲載されています。年齢不問、シニア歓迎、60代活躍中などのキーワードで検索すると、希望の仕事が見つかりやすいでしょう。
シルバー人材センター
シルバー人材センターは、高齢者の就業を支援する公益法人です。原則として60歳以上の人が会員となり、地域社会に貢献する仕事を紹介してもらえます。仕事内容は、清掃、家事援助、育児支援、事務補助など、多岐にわたります。
人材派遣会社
人材派遣会社に登録するのも一つの方法です。派遣会社では、様々な業種や職種の仕事を紹介してもらえます。また、短時間勤務や週に数日だけの勤務など、柔軟な働き方ができる仕事も見つかりやすいです。
知人からの紹介
知人からの紹介で仕事が見つかることもあります。友人や親戚、近所の人などに、仕事を探していることを伝えておくと、良い情報が得られるかもしれません。
長く働き続けるために心がけたいこと
健康管理
長く働き続けるためには、健康管理が最も重要です。日頃からバランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけましょう。また、定期的に健康診断を受け、自分の健康状態を把握することも大切です。
スキルアップ
新しい知識やスキルを学ぶことも、長く働き続けるためには重要です。パソコンスキルや語学力など、仕事に役立つスキルを身につけておくと、仕事の選択肢が広がります。また、資格を取得するのも良いでしょう。
良好な人間関係の構築
職場での良好な人間関係は、仕事のモチベーションを維持するために重要です。積極的にコミュニケーションを取り、周囲の人と協力しながら仕事を進めましょう。
ワークライフバランス
仕事とプライベートのバランスを保つことも大切です。無理をしすぎず、自分のペースで働くことが、長く働き続けるための秘訣です。
まとめ
パートとして働くことに、基本的に年齢制限はありません。年齢を理由とした差別は、原則として禁止されています。また、多くの業界で人手不足が深刻化しており、シニア層の労働力に大きな期待が寄せられています。シニア世代には、経験やスキルを活かせる仕事、体力的な負担が少ない仕事、柔軟な働き方ができる仕事がおすすめです。仕事を探す際には、ハローワーク、求人サイト、シルバー人材センター、人材派遣会社などを活用しましょう。長く働き続けるためには、健康管理、スキルアップ、良好な人間関係の構築、ワークライフバランスを心がけることが大切です。自分に合った仕事を見つけて、充実したセカンドキャリアを築きましょう。