まだ肌寒い早春に、鮮やかな濃いピンク色の花を咲かせる桜。「緋寒桜(ヒカンザクラ)」とも呼ばれるし、「寒緋桜(カンヒザクラ)」とも呼ばれるけれど、一体どっちが正しいの?と混乱したことはありませんか?
名前がとても似ているため、違う種類の桜だと思っている方も多いかもしれません。
実は、その疑問はとてもシンプルに解決します。この記事では、「緋寒桜」と「寒緋桜」の本当の関係と、多くの人が最も混同しやすい「彼岸桜(ヒガンザクラ)」との決定的な違いについて、誰にでも分かるようにやさしく解説します。
結論:「緋寒桜」と「寒緋桜」は全く同じ桜です
まず結論からお伝えします。
「緋寒桜(ヒカンザクラ)」と「寒緋桜(カンヒザクラ)」は、同じ一つの桜を指す別名です。
正式な和名は「緋寒桜(ヒカンザクラ)」ですが、現在では、ニュースや植物園などで「寒緋桜(カンヒザクラ)」という呼び名の方が一般的に使われる傾向にあります。
なぜ呼び名が違うの?「彼岸桜」との混同を避けるため
同じ桜なのに、なぜわざわざ別の名前で呼ばれるのでしょうか?
その最大の理由は、「彼岸桜(ヒガンザクラ)」という、全く別の桜との聞き間違いを防ぐためです。
- 緋寒桜(ヒカンザクラ)
- 彼岸桜(ヒガンザクラ)
口頭で「ヒカンザクラ」と聞いただけでは、どちらの桜を指しているのか非常に分かりにくいですよね。
この紛らわしさを解消するため、「寒い時期に緋色(ひいろ=鮮やかな赤色)の花が咲く桜」という特徴をそのまま名前にした「寒緋桜(カンヒザクラ)」という呼び名が、広く使われるようになったのです。NHKなどでも、この混同を避けるために「カンヒザクラ」という呼称を用いています。
【比較表】最重要!「寒緋桜」と「彼岸桜」の決定的な違い
あなたが本当に知るべきなのは、「緋寒桜」と「寒緋桜」の違いではなく、この2つの桜の違いです。見分けるポイントは全く異なります。
| 寒緋桜(カンヒザクラ) (=緋寒桜) | 彼岸桜(ヒガンザクラ) | |
|---|---|---|
| 花の色 | 濃いピンク色(緋色) | 淡いピンク色~白色 |
| 花の形 | 釣鐘状で下向きに咲く | 平たく開いて咲く |
| 開花時期 | 1月~3月(早咲き) | 3月中旬~下旬(お彼岸の頃) |
| 散り方 | 花ごとポトリと落ちる (椿のような散り方) | 花びらが一枚ずつ散る (一般的な桜のイメージ) |
「寒緋桜(カンヒザクラ)」の3つの特徴
では、私たちが「カンヒザクラ」と呼ぶ桜には、どのような特徴があるのでしょうか。代表的な3つのポイントを紹介します。
特徴1:沖縄で「桜」といえばこの花
寒緋桜は、原産地が台湾や中国南部で、暖かい気候を好みます。そのため、日本では主に沖縄県や九州南部で多く見られます。沖縄の桜前線は、この寒緋桜の開花を基準にしており、地元では単に「桜」といえばこの花を指すほど親しまれています。
特徴2:濃いピンク色で下向きに咲く(1月~3月)
ソメイヨシノのような淡いピンク色とは対照的に、目が覚めるような濃いピンク色(緋色)が特徴です。また、花は完全には開かず、まるで釣鐘のように下を向いて咲きます。開花時期も1月下旬から3月にかけてと、本州の桜より一足早く春の訪れを告げます。
特徴3:花びらが散らない(花ごと落ちる)
一般的な桜のように花びらがひらひらと舞い散ることはありません。寒緋桜は、花が終わると、ガク(花の根元の部分)ごと椿の花のようにポトリと地面に落ちます。この潔い散り方も、寒緋桜の大きな特徴の一つです。
よくある質問
Q. 「緋寒桜」の読み方は?
A. 「ヒカンザクラ」と読みます。「彼岸桜(ヒガンザクラ)」と発音が似ていることが、混乱の元になっています。
Q. 河津桜(カワヅザクラ)との違いは何ですか?
A. 河津桜は、この寒緋桜と早咲きのオオシマザクラが自然に交配して生まれた品種と考えられています。そのため、河津桜も早咲きでピンク色が濃いという特徴を持っていますが、寒緋桜ほど花の色は濃くなく、花の形も平たく開きます。
Q. 寒緋桜の花言葉は?
A. 「あでやかな美人」「善行」などがあります。その鮮やかな花の色から、華やかなイメージの花言葉がつけられています。
まとめ
「緋寒桜」と「寒緋桜」に関する長年の疑問、スッキリ解決できたでしょうか。
- 結論: 「緋寒桜」と「寒緋桜」は全く同じ桜。
- 理由: 発音が似ている「彼岸桜」と区別するために、「寒緋桜」という呼び名が広まった。
- 特徴: 寒緋桜は「濃いピンク」「下向きの釣鐘型」「花ごと落ちる」のが特徴。
これからは、早春に濃いピンク色の桜を見かけたら、「これはカンヒザクラだね」と自信を持って見分けられるはずです。ぜひ、一足早い春の訪れを楽しんでみてください。


