抽象的な思考が苦手だと感じている方は少なくないでしょう。具体的な事柄は理解できるものの、物事の本質や概念を捉えるのが難しい、と感じるかもしれません。ビジネスシーンや日常生活において、抽象的な思考は課題解決や新しいアイデアを生み出す上で重要な役割を果たします。この記事では、抽象的思考が苦手な人の特徴を掘り下げ、頭の良さとの関連性、そしてトレーニングによって改善できるのかどうかについて解説します。
具体的なことしか理解できない?抽象的思考が苦手な人の特徴
抽象的な思考が苦手な人には、いくつかの共通した特徴が見られます。以下に具体的な例を挙げながら、その特徴を詳しく解説していきます。
具体的な事例に固執しがち
抽象的な思考が苦手な人は、目の前の具体的な事柄に意識が集中しやすく、そこから離れて物事を考えることが難しい傾向があります。例えば、「チームワーク」という概念を理解する際、「〇〇さんが△△の業務を手伝った」という具体的な事例は理解できるものの、「チーム全体の目標達成のために協力し合う」という抽象的な概念として捉えることが難しいといったケースです。
曖昧な表現や比喩が苦手
抽象的な表現や比喩を理解するのに苦労することも、特徴の一つです。「雨後の筍のように」という比喩表現を聞いた時、すぐに具体的なイメージが湧かない、あるいは文字通りの意味で解釈してしまうといったことが起こります。言葉の裏にある意味や、隠されたニュアンスを読み取るのが難しいのです。
長期的な視点が欠けやすい
目先の出来事や短期的な目標に捉われがちで、長期的な視点を持つのが苦手な場合があります。例えば、目の前のタスクに集中しすぎて、それが全体のプロジェクトにどう影響するのかを考えることが難しい、といった状況が考えられます。結果として、計画性が欠けたり、場当たり的な行動に走ってしまったりする可能性があります。
パターン化された思考に陥りがち
過去の経験や知識に頼りやすく、新しい視点や発想を受け入れるのが苦手な傾向も見られます。過去の成功事例に固執したり、マニュアル通りの行動しかできなかったりすることがあります。柔軟な発想が求められる場面では、思考が硬直してしまうことがあります。
抽象的思考と頭の良さ:関係性はあるのか?
抽象的な思考と頭の良さは、必ずしもイコールではありません。一般的に、頭が良いという言葉は、知識量、記憶力、計算能力など、様々な要素を含んでいます。抽象的思考は、これらの要素とは異なる、物事を概念的に捉え、本質を見抜く力に関わるものです。
頭の良さの定義
「頭が良い」という言葉の定義は多岐に渡ります。テストの点数が高い、難解な問題を解ける、知識が豊富、といったイメージを持つ人もいれば、コミュニケーション能力が高い、創造的な発想ができる、といった能力を指す人もいます。
抽象的思考は一つの能力
抽象的思考は、頭の良さを構成する要素の一つと考えられます。問題解決能力や意思決定能力、創造性を発揮する上で重要な役割を果たす能力です。必ずしもテストの点数や知識量と直結するものではありません。
頭が良くても抽象的思考が苦手な場合も
高い知識や優れた記憶力を持っていても、抽象的な思考が苦手な人もいます。例えば、大学で難しい数学の問題を解ける人が、ビジネスの戦略立案で抽象的な概念を扱うことに苦労するといったケースです。これは、知識と抽象的思考は、異なる種類の能力であるということを示唆しています。
抽象的思考を鍛えるためのトレーニング方法
抽象的な思考は、生まれつきの能力だけでなく、トレーニングによって向上させることができます。ここでは、具体的なトレーニング方法を紹介します。
日常生活でできるトレーニング
日常生活の中で、少し意識を変えるだけでも抽象的思考を鍛えることができます。
なぜ?を繰り返す
物事の本質を捉えるために、「なぜ?」を繰り返す習慣をつけましょう。例えば、ニュース記事を読んだとき、単に内容を理解するだけでなく、「なぜこのような出来事が起こったのか?」「背景にはどのような要因があるのか?」と深く掘り下げて考えてみましょう。
異なる視点から物事を捉える
一つの事柄を、異なる立場や視点から捉え直してみましょう。例えば、会社の会議で議題になっている内容について、自分の意見だけでなく、上司の立場、部下の立場、顧客の立場など、様々な視点から考えてみましょう。
比喩表現を使ってみる
日常会話や文章の中で、積極的に比喩表現を取り入れてみましょう。例えば、「今日の天気は、まるで〇〇のようだ」といったように、具体的な事柄を抽象的な概念で表現する練習をしましょう。
思考力を鍛えるトレーニング
思考力を鍛えることで、抽象的な思考も自然と向上していきます。
マインドマップを活用する
マインドマップは、アイデアを整理したり、思考を広げたりするのに役立つツールです。中心となるテーマから、関連するキーワードやアイデアを放射状に書き出していくことで、物事を多角的に捉えられるようになります。
抽象的なテーマについて議論する
哲学的なテーマや社会問題など、抽象的なテーマについて議論する機会を設けましょう。自分とは異なる意見を聞くことで、思考の幅を広げることができます。
アウトプットを習慣化する
学んだことや考えたことを文章にまとめたり、人に話したりする習慣をつけましょう。アウトプットをすることで、自分の思考を整理し、抽象的な概念を言語化する訓練になります。
読書を通じて抽象的な思考を鍛える
読書は、抽象的な思考力を高めるのに非常に有効な方法です。
小説を読む
小説を読むことは、登場人物の感情や行動の裏にある心理を想像力を働かせながら理解する練習になります。物語の背景や作者の意図を読み解くことで、物事を多角的に捉える力が養われます。
哲学書や批評を読む
哲学書や社会批評を読むことで、抽象的な概念を理解する訓練になります。難しい言葉や概念に触れることで、思考力を深め、物事の本質を捉える力が身につきます。
まとめ:抽象的思考はトレーニングで伸ばせる
抽象的な思考は、日常生活や仕事において、重要な役割を果たす能力です。苦手意識を持っている人も、トレーニングによって改善することができます。具体的な事柄に捉われがちな人は、意識して物事を抽象化して捉える練習をしてみましょう。また、思考力を鍛えるトレーニングや読書を通じて、思考の幅を広げることが重要です。焦らず、少しずつ取り組むことで、抽象的な思考力は着実に向上していくはずです。
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