毎年秋に全国各地で開催される、国内最大のスポーツの祭典。長年「国民体育大会(国体)」として親しまれてきましたが、2024年からは名称が「国民スポーツ大会(国スポ)」に変わりました。
この国スポ、「2024年は佐賀、2025年は滋賀、2026年は青森…」と、かなり先まで開催地が決まっています。この開催地、一体どのような順番で、誰が決めているのかご存知ですか?
この記事では、意外と知られていない国スポ開催地の決め方のルール、「輪番制」の仕組みを、誰にでも分かるようにやさしく解説します。
そもそも「国体」と「国スポ」の違いは?
まず基本的な点として、2024年の佐賀大会から「国民体育大会(国体)」は「国民スポーツ大会(国スポ)」へと正式に名称が変更されました。
これは、スポーツ基本法の改正に伴うもので、大会の内容が大きく変わるわけではありません。この記事では、分かりやすく「国体(国スポ)」と併記して解説します。
国スポ開催地の決め方:「3ブロック輪番制」という順番ルール
国体(国スポ)の開催地は、立候補した都道府県の中から人気投票で決まる…というわけではありません。そこには、全国の都道府県が公平に開催できるように「ブロック制」と「輪番制」という明確なルールが存在します。
ステップ1:まず日本全国を3つの「地区」に分ける
開催地を決めるにあたり、まず日本全国の47都道府県が、以下の3つの大きなグループ(地区)に分けられています。
| 地区 | ブロックの内訳(所属する都道府県) |
|---|---|
| 東地区 | 北海道、東北 (青森, 岩手, 宮城, 秋田, 山形, 福島), 関東 (茨城, 栃木, 群馬, 埼玉, 千葉, 東京, 神奈川, 山梨) |
| 中地区 | 北信越 (新潟, 富山, 石川, 福井, 長野), 東海 (岐阜, 静岡, 愛知, 三重), 近畿 (滋賀, 京都, 大阪, 兵庫, 奈良, 和歌山) |
| 西地区 | 中国 (鳥取, 島根, 岡山, 広島, 山口), 四国 (徳島, 香川, 愛媛, 高知), 九州 (福岡, 佐賀, 長崎, 熊本, 大分, 宮崎, 鹿児島, 沖縄) |
ステップ2:3つの地区が順番に開催する(輪番)
そして、大会は「東地区 → 中地区 → 西地区 → 東地区…」という順番で、毎年グループを持ち回りする形で開催されます。
例えば、2025年の滋賀大会は「中地区」、2026年の青森大会は「西地区」…ではなく「東地区」の番、というように、大きな順番が決められています。
※2026年は本来なら西地区の番でしたが、宮崎県が2027年に内定していることなどから調整が入り、東地区の青森県での開催となりました。このように、順番は基本ですが、調整が入ることもあります。
ステップ3:地区内で開催都道府県を決める
例えば「数年後は東地区の番」となったら、東地区に所属する北海道、東北、関東の各ブロック内で「次はうちの県でやりたい」と希望する都道府県が調整し、開催地を決定します。
こうすることで、特定の地域に偏ることなく、全国の都道府県が順番に開催できるように工夫されているのです。
今後の開催地(開催県)一覧【2034年まで】
このルールに基づき、すでにかなり先まで開催地(内定含む)が決まっています。
| 開催年 | 開催都道府県 | 地区 |
|---|---|---|
| 2024年 | 佐賀県 | 西地区 |
| 2025年 | 滋賀県 | 中地区 |
| 2026年 | 青森県 | 東地区 |
| 2027年 | 宮崎県 | 西地区 |
| 2028年 | 長野県 | 中地区 |
| 2029年 | 群馬県 | 東地区 |
| 2030年 | 島根県 | 西地区 |
| 2031年 | 三重県 | 中地区 |
| 2032年 | 埼玉県 | 東地区 |
| 2033年 | 岡山県 | 西地区 |
| 2034年 | 長野県(2回目) | 中地区 |
なぜ都道府県は国スポをやりたがる?メリットとデメリット
これほど先まで開催地が決まっている国体(国スポ)。多額の税金がかかるのに、なぜ各都道府県は開催したがるのでしょうか。
メリット:経済効果とスポーツ施設の整備
- 経済効果: 大会期間中、選手や観客が全国から訪れるため、宿泊、飲食、交通、観光などで地域にお金が落ち、大きな経済効果が期待できます。
- インフラ整備: 大会開催をきっかけに、老朽化した競技場や体育館を新設・改修したり、道路や駅周辺を整備したりと、地域のインフラを向上させる絶好の機会となります。
デメリット:莫大な財政負担
最大のデメリットは、やはりお金の問題です。施設の整備費や大会の運営費には、数百億円規模の莫大な費用がかかります。これが開催地の財政を圧迫するとして、近年では開催方法の見直しを求める声も上がっています。
よくある質問
Q. 開催は何年前に決まるのですか?
A. 正式な開催決定は3年前に行われますが、そのずっと前から準備は始まっています。開催を希望する都道府県は、およそ10年前に開催意向を表明し、5年前に内定を受ける、という流れが一般的です。
Q. 冬季大会の開催地も同じ決め方ですか?
A. いいえ、異なります。スケートやスキーなどを行う冬季大会は、雪や氷といった自然条件が必須のため、開催できる都道府県が限られます。そのため、夏季・秋季大会のようなブロック輪番制は適用されず、開催可能な都道府県の中から別途決定されます。
Q. 開催を辞退する県はないのですか?
A. 過去には、財政難などを理由に開催を返上(辞退)した県もあります。その場合は、同じ地区内の他の都道府県が代わりに開催するなど、調整が行われます。
まとめ
国体(国スポ)の開催地の決め方のポイントをまとめます。
- 基本ルール: 日本全国を「東・中・西」の3地区に分け、その地区が順番に開催する「輪番制」。
- 順番: 「東→中→西→東…」のサイクルで、地区内で開催したい都道府県が調整して決まる。
- 決定時期: 約10年前に立候補し、3年前に正式決定する。
この仕組みを知ると、今後の開催地一覧を見て「次は〇〇地区の番だな」と予測することもできます。来年以降の開催地をチェックしながら、未来のスポーツの祭典に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。



