パソコンスキルの証明として広く知られている「MOS（マイクロソフト オフィス スペシャリスト）資格」。就職や転職活動のために取得を考えたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、インターネットで調べてみると、「MOS資格は恥ずかしい」「取っても意味ない、役に立たない」といったネガティブな意見を目にすることがあり、「本当に履歴書に書いていいのかな？」と不安に感じてしまうかもしれません。この記事では、なぜMOS資格が「恥ずかしい」と言われることがあるのか、その理由と背景にある誤解、そしてMOS資格が持つ本当の価値と、どのような場面で役立つのかについて、皆さんの疑問に寄り添いながら、分かりやすく解説していきます。
資格を取得するかどうかは、ご自身のキャリアプランにおいて重要な決断です。世間のイメージや噂に惑わされず、その資格が持つ本質的な価値を正しく理解することが、後悔のない選択に繋がります。この記事を読めば、MOS資格に関する疑問や不安が解消され、自信を持って資格取得や、キャリアへの活用を検討できるようになるはずです。
MOS資格とは？その概要と評価
まず、MOS資格がどのような資格で、社会的にどのように評価されているのか、その基本的な情報から見ていきましょう。
MOSは世界的に通用する国際資格
MOS（Microsoft Office Specialist）は、マイクロソフト社が公式に認定する、Word、Excel、PowerPointなどのOfficeソフトの利用スキルを証明する国際資格です。
- 世界的な知名度と信頼性:
- 世界200以上の国と地域で実施されており、その合格認定証は世界中で通用します。
- マイクロソフトという、ビジネスシーンで圧倒的なシェアを誇る企業が認定しているため、非常に高い信頼性を持っています。
- 実践的なスキルを証明:
- 試験は、実際のアプリケーションソフトをコンピュータ上で操作する実技試験形式で行われます。
- これにより、単なる知識だけでなく、実務で役立つ具体的な操作スキルを持っていることを客観的に証明できます。
MOS資格のレベル：スペシャリストとエキスパート
MOS資格には、主に2つのレベルがあります。
| レベル | 対象者 | 難易度・特徴 |
|---|---|---|
| スペシャリスト（一般レベル） | Officeソフトの基本的な機能を理解し、一般業務で活用できる方向け。 | 基本的な操作スキルが問われる。合格率は比較的高く、独学での取得も十分に可能。 |
| エキスパート（上級レベル） | Officeソフトの高度な機能を理解し、業務効率を大幅に向上させたい方向け。 | 高度な機能（マクロ、データ分析など）の知識が問われる。スペシャリストより難易度が高い。 |
「MOS資格」と一括りにせず、どのレベルの資格を取得したのかを明確にすることが、スキルのアピールにおいて重要です。特に、エキスパートレベルまで取得していると、より高度なスキルを持つ証明となり、評価が高まる傾向があります。
なぜMOS資格は「恥ずかしい」「役に立たない」と言われるのか？
MOS資格がこれほどまでに広く認知されているにも関わらず、なぜ一部で「恥ずかしい」「役に立たない」といったネガティブな意見が出てくるのでしょうか。その背景にある理由と誤解を紐解いていきましょう。
1. Officeソフトの操作は「できて当たり前」という認識
最も大きな理由の一つが、現代のビジネスシーンにおいて、WordやExcelの基本的な操作は「できて当たり前」のスキルと見なされていることです。
- 日常的なスキルの証明:
- 多くの職場で、Officeソフトは日常的に使われるツールです。そのため、「わざわざ資格を取ってまでアピールするほどのことではない」と感じる人がいるのです。
- 世代間のギャップ:
- 特に、学生時代からパソコンに触れてきた若い世代にとっては、Officeソフトの操作は特別なスキルとは感じにくいかもしれません。
2. 資格取得の難易度への誤解
MOS資格は、他の高度なIT資格と比較して、比較的取得しやすいという側面があります。
- 合格率の高さ:
- スペシャリスト（一般レベル）の合格率は約80%、エキスパート（上級レベル）でも約60%と、他の専門的な資格に比べて高い水準です。
- これにより、「誰でも取れる簡単な資格」というイメージを持たれ、その価値が過小評価されてしまうことがあります。
- 独学での取得可能性:
- 市販のテキストやオンライン教材が充実しており、独学でも十分に合格を目指せることも、難易度が低いという印象に繋がっています。
3. 職種による評価の違い
MOS資格が評価されるかどうかは、職種によって大きく異なります。
- 評価されにくい職種:
- プログラマーやWebデザイナー、システムエンジニアといったIT専門職では、Officeソフトの操作はあくまで基礎中の基礎スキルと見なされます。
- これらの職種では、より高度なプログラミングスキルや、専門的なソフトウェアの知識が求められるため、MOS資格をアピールしても、プラスの評価には繋がりにくいです。
- 「アピールにならない」という誤解:
- このような専門職の視点から、「MOSは役に立たない」という意見が発信され、それが全ての職種に当てはまるかのように誤解されてしまうことがあります。
MOS資格は恥ずかしくない！その本当の価値とメリット
「恥ずかしい」「役に立たない」という意見は、主に上記のような誤解や、特定の視点から生まれたものです。実際には、MOS資格には多くの価値とメリットがあり、自信を持って履歴書に記載すべき資格です。
1. 「PCが使える」を客観的に証明できる
「パソコンが使えます」という自己申告は、非常に曖昧で、そのレベルを客観的に伝えるのは難しいです。
- スキルの可視化:
- MOS資格は、「Wordで文書作成ができる」「Excelでデータ集計やグラフ作成ができる」といった具体的なスキルを、世界共通の基準で客観的に証明してくれます。
- 採用担当者に対して、あなたのPCスキルを具体的かつ説得力を持ってアピールできます。
- 新卒や未経験者には特に有効:
- 実務経験が少ない新卒の学生や、事務職未経験の方が転職する際に、MOS資格は「即戦力となりうる基本的なPCスキルを持っている」という意欲と能力の証明になります。
2. 業務効率が飛躍的に向上する
MOS資格の勉強をすることは、単に資格を取るだけでなく、Officeソフトの機能を体系的に学び、業務効率を向上させる絶好の機会です。
- 知らなかった便利機能の発見:
- 普段何気なく使っているWordやExcelにも、知らなかった便利な機能やショートカットキーがたくさんあります。
- 資格学習を通じてこれらの機能をマスターすることで、資料作成やデータ処理のスピードが格段に上がります。
- 自己流の操作からの脱却:
- 自己流で覚えてきた操作を見直し、より効率的で正しい操作方法を身につけることができます。
3. 特定の職種では高く評価される
「できて当たり前」と言われる一方で、MOS資格が非常に高く評価される職種も数多く存在します。
- 事務職、秘書、経理:
- Wordでの文書作成、Excelでのデータ集計、PowerPointでの資料作成などが日常業務の中心となるこれらの職種では、MOS資格は必須スキルとして評価されます。
- 営業職、販売職:
- 提案書や報告書の作成、売上データの分析など、Officeソフトを使いこなせる能力は、業務の質を大きく左右します。
- 教育・インストラクター:
- パソコン教室のインストラクターなど、人にOfficeソフトの使い方を教える立場では、MOS資格は信頼の証となります。
4. 向上心や学習意欲のアピール
資格を取得するという事実そのものが、自己成長への意欲や、目標に向かって努力できる人材であることをアピールする材料となります。
- 主体的な学習姿勢:
- 業務命令ではなく、自らの意志で資格取得に取り組んだ姿勢は、向上心があると評価されます。
- PCスキルへの関心の高さ:
- IT化が進む現代において、PCスキルを積極的に学ぼうとする姿勢は、どんな職種においても歓迎されます。
MOS資格に関するよくある質問
MOS資格について、皆さんが疑問に思われがちな点についてQ&A形式で解説します。ここでの情報が、皆さんの疑問を解消する一助となれば幸いです。
MOS資格を履歴書に書いたら恥ずかしいですか？
いいえ、MOS資格を履歴書に書くことは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、特に事務職や、PCスキルが求められる職種に応募する際には、自信を持って記載すべきです。MOSはマイクロソフト社が認定する世界共通の国際資格であり、あなたのPCスキルを客観的に証明する有力な武器となります。ただし、応募する職種や、ご自身のキャリアによっては、より専門的な資格と合わせて記載するなどの工夫をすると、さらに効果的です。
MOSとITパスポートどっちが難しい？
一般的に、ITパスポートの方がMOSよりも難易度は高いとされています。
- MOS: WordやExcelといった特定のアプリケーションソフトの「操作スキル」を問う実技試験です。
- ITパスポート: ITに関する「基礎知識」を幅広く問う国家試験です。ストラテジ系（経営全般）、マネジメント系（IT管理）、テクノロジ系（IT技術）といった、より広範な知識が求められます。
どちらの資格が良いかは、目指す職種や目的によって異なります。事務作業の効率化を目指すならMOS、IT業界の基礎知識を身につけたいならITパスポート、といったように、ご自身のキャリアプランに合わせて選ぶと良いでしょう。
履歴書にMOSは書けますか？
はい、履歴書にはぜひMOS資格を記載してください。正式名称は「マイクロソフト オフィス スペシャリスト」ですが、一般的に「MOS」という略称で広く認知されているため、「MOS Word 2019 Specialist 合格」や「マイクロソフト オフィス スペシャリスト Excel 2021 Expert 合格」といったように、バージョンとレベルを明記すると、より具体的にスキルを伝えることができます。
MOSの試験は難しいですか？
MOS資格の難易度は、レベルによって異なります。
- スペシャリスト（一般レベル）: Officeソフトの基本的な操作に慣れている方であれば、市販のテキストで独学し、数週間〜1ヶ月程度の勉強時間で合格を目指せるレベルです。
- エキスパート（上級レベル）: より高度で専門的な機能に関する知識が問われるため、スペシャリストよりも難易度は高くなります。合格には、より計画的な勉強方法と、1ヶ月〜3ヶ月程度の勉強時間が必要になる場合があります。
試験の料金や試験日は、公式サイトや、お近くの試験会場で確認できます。
まとめ
「MOS資格は恥ずかしい」「役に立たない」といった意見は、主に「Officeソフトの操作はできて当たり前」という認識や、資格取得の難易度が比較的低いというイメージ、そしてIT専門職など一部の職種では評価されにくいといった背景から生まれる誤解です。
実際には、MOS資格は「PCスキルを客観的に証明できる」世界共通の国際資格であり、取得の過程で「業務効率を飛躍的に向上させる」知識が身につきます。特に、事務職や秘書、営業職といった、Officeソフトを多用する職種では非常に高く評価されます。また、資格取得という事実そのものが、自己成長への意欲や努力をアピールする上で大きな価値を持ちます。
履歴書に記載する際は、自信を持って記載すべきであり、特にエキスパートレベルまで取得している場合は、より高度なスキルを持つ証明となります。
この記事を通じて、MOS資格が「恥ずかしい」という噂の真相、その本当の価値とメリットについての疑問が解消され、ご自身のキャリアにとってMOS資格がどのように役立つのかを、自信を持って判断できるようになる一助となれば幸いです。
